蜘蛛の糸

はっきりと振られたはずなのに、彼女は髪を結い続けてる。
これはまるで、カンダタの目の前に下ろされた蜘蛛の糸のよう。

期待を抱くなんて、馬鹿な話だ。

そう思いながらも、自分は卑しくこの糸に縋りついてる。
ぷつりと途切れてしまって、また地獄の底へと落とされるのに。

出雲では今日の夕刻、神様たちの縁を結ぶ会議が終わる。
この糸はその前に、切れるだろうか。


はっきりと振られた筈なのに、想いは切れない。

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