散歩道

散歩道
いまはもう通れなくなってる散歩道。

出発直後は嬉しさ余って猛ダッシュ!でも電柱に辿り着くなり急停止!
そんでクンクン、ジャバババっておしっこかけて、それが終わるとまた次の電柱目掛けて猛ダッシュ。
しばらくこれの繰り返し。
飼い主の威厳を見せてやろうと平静を装っていたけれど、正直あれはきつかった。

いくらか走れば気が済むのか、後はスタスタ・スタスタ、軽快なペースに。
尻尾はピン!と天を指し、後ろから見てるとまるでススキの穂のよう。それを嬉しそうに左右にフリフリ。
尻尾に生えた長い毛は、足早なテンポにあわせ上下にもフワリフワリと揺れて、それは本当に心地よく、なんとも癒される光景だった。

途中通りかかるグランド。リードから解放され自由に駆け回る散歩友達を見て、我も!って余程うらやましいのか駆け寄ってこうとしてたけれど、君はひと回りもふた回りも大きな身体だもの、喧嘩になったら、いや、悪気がなくても、じゃれるだけでも、あっちの犬は怪我するかも知れない。
そうでなくても、君はそのまま戻って来てくれないかも知れない。迷い犬にでもなろうもんなら、犬相の悪い君だもの、ブラブラしてるとこを通報されて、何処かに連れ去られてしまうかも知れない。
そんな恐れを存分に抱いて、馬鹿な飼い主は君を放すことができなかった。あれはやっぱり、不満だったろうね。

時にすんごい形相で吠え掛かってくる犬に出遭うことがあったけど、君はそれを気にもかける様子もなく平然と通り過ぎる。向こうの飼い主は「お前があんな大きな犬に敵うか!」って諭したりなんかして、すごく誇らしい気持ちになった。
そういえば君はどんな犬に対しても、己から喧嘩を売るような真似は決してしなかった。

犬相は悪いくせに。

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